ご案内
1.お申込み者には、2月9日にZoomのURLをメールでお送りします。前日になっても届かない場合は、kotensaisei@gmail.comまでご連絡ください。
2.オンラインで参加される方は、Zoomは最新のバージョンに更新してご参加ください。
3.大会期間中の録音・録画を禁じます。また、無断で動画・音声・資料を複製・使用することや、第三者に転送・公表することも固く禁じます。
古典はいかに再生されてきたか、古典をいかに再生すべきか。
その歴史を振り返り、未来に向けて、私たちがなすべきことを考える。
趣意文
日時
2023年
2月11日(土)13:30~17:40
2月12日(日) 9:50~17:15
会場
京都産業大学むすびわざ館
〒600-8533 京都府京都市下京区中堂寺命婦町1-10
アクセス
https://www.kyoto-su.ac.jp/facilities/musubiwaza/access.html
ハイブリッド開催・事前登録制
使用言語:日本語
2/11(土)
13:30~
開会の挨拶
京都産業大学 外国語学部・学部長 平塚 徹
13:40~
パネルディスカッション
再生する古典
|基調講演|13:40~
古典×再生=テクスト遺産 過去文化の復興における文学の役割
エドアルド・ジェルリーニ(ヴェネツィア・カフォスカリ大学)
要旨◉古典は文化財として理解されることが多いがその価値は元より、尊重・伝承・複製といった過程を通して得られたものである。文化遺産は、過去と現在の関係に基づく古典の役割を再考するに有効な概念だと提案できる。
|発表|14:55~
18-19世紀における王朝文学空間の再興
盛田 帝子(京都産業大学)
要旨◉平安王朝文化を意識した物合が再興された江戸、楽御会や歌御会が盛んに催され後宮文化が隆盛した京の宮廷。18世紀後半から19世紀にかけて王朝文化が再興された二都の文学空間について考える。
琉球における日本古典文化の受容
ロバート・ヒューイ(ハワイ大学)
要旨◉15世紀以来、仏教の僧や国際貿易によって、日本の書物や文学が琉球王国に渡り、多くの刺激を与えた。王国のインテリに和歌などを作ってみた人も少なくない。琉球人が日本の書物や文学をどのように受容したかを考察する。
古典の再生 ―古事記・日本書紀・風土記の翻訳と海外における受容
アンダソヴァ・マラル(早稲田大学)
要旨◉本発表では、古事記・日本書紀・風土記の英訳を中心に取り上げ、それぞれの時代になぜその書物の翻訳が必要とされ、行われたのかを考察する。それを通して日本の古典文学の国際性および海外における受容について論じる。
|討論|16:20~
エドアルド・ジェルリーニ+盛田 帝子+ロバート・ヒューイ+アンダソヴァ・マラル
ディスカッサント●荒木 浩(国際日本文化研究センター)
司会●飯倉 洋一(大阪大学)
2/12(日)
10:00~
セッション1
イメージとパフォーマンス
|発表|
絵巻と『徒然草』絵注釈の間 ―デジタルアプローチの試みをかねて
楊 暁捷(カルガリー大学)*
*カルガリー大学の楊暁捷先生は、2022年10月13日に逝去されました。先生は、ご逝去の直前にご自身の発表動画を完成し、事務局にお送りくださっておりました。今回は楊先生が本シンポジウムのために遺された発表動画を拝聴し、先生をお偲びし、ご冥福をお祈り申し上げたく存じます。
人麿画像の讃の歌
佐々木 孝浩(慶應義塾大学)
要旨◉万葉歌人の柿本人麿は歌聖として崇拝され、院政期から歌会の席にその画像が飾られるようになるが、画賛として添えられた人麿歌は江戸時代に新たな展開を示すようになる。その変化の様相と意味について考察する。
霊媒〈メディウム〉としての古典:初期テレビと1956年の幽霊
ジョナサン・ズウィッカー(カリフォルニア大学バークレー校)
要旨◉山東京伝の『安積沼』(1803)以来、小幡小平次の怪談が様々なジャンルやメディアで語り続けられてきた。1956年日本テレビ放送の『生きている小平次』を中心に、初期テレビで古典としての江戸時代を考察する。
女房装束の変遷 ―平安期女房装束の復元を通じて―
佐藤 悟(実践女子大学)
要旨◉実践女子大学では一点も現存しない平安期女房装束の復元を絵巻や文献などによっておこなった。その結果あきらかになった現代宮廷装束へ至る変遷と衣紋道の家であった高倉家の室町期・江戸期の活動について報告する。
ディスカッサント●山田 和人(同志社大学)
司会●盛田 帝子(京都産業大学)
13:30~
セッション2
源氏物語再生史
|発表|
女房たちの源氏物語 ―『阿仏の文』を視座に
田渕 句美子(早稲田大学)
要旨◉女房たちにとって『源氏物語』は、仰ぐべき古典であり詞の源泉でもあるが、基底に流れる意識は、宮廷に生きる女房たちの心性の凝縮である。それを中世から照射し顕在化させているのが『阿仏の文』であり、これを視座に考える。
『源氏物語』享受史における詞の表象
松本 大(関西大学)
要旨◉室町後期以降に多く作成された、源氏物語本文を抄出した色紙を取り上げる。従来は絵画資料とともに扱われるに過ぎなかったが、詞のみでも十分に注目に値する性格を有することを、物語世界の再現化という観点から述べることとする。
樋口一葉における和歌と源氏物語
兵藤 裕己(学習院大学)
要旨◉樋口一葉は、24歳で亡くなるまでに四千首以上の和歌を詠んでいる。その殆どは題詠歌であり、題詠という(近代以前的な)詩的言語のあり方が、『源氏物語』の語り(文体)の方法とともに、一葉の執筆活動の基盤となったことを述べる。
ディスカッサント●中嶋 隆(早稲田大学)
司会●加藤 弓枝(名古屋市立大学)
15:35~
セッション3
江戸文学のなかの古典
|発表|
江戸幕府の儒臣と朝廷の文物 ― 柴野栗山の事例を中心に
山本 嘉孝(国文学研究資料館)
要旨◉江戸幕府に仕えた儒者の言説には、平安朝を理想視し、朝廷の文物の復興を徳川政権下における天下泰平の象徴と見なす流れが一部存在した。内裏造営の考証にも関与した柴野栗山の漢文を検討し、明治維新までの道のりを考える。
紀行文の中の古典
ユディット・アロカイ(ハイデルベルク大学)
要旨◉江戸時代になると、旅が盛んになって紀行文が急に増える。ここでは、旅の動機よりも、書く動機に注目して、古典と実景のパーセプションの関係、古典和歌のモチーフの使用や紀行文のなかでのイメージについて考察する。
上田秋成における〈古典〉語り
飯倉 洋一(大阪大学)
要旨◉上田秋成は、『金砂』という『万葉集』の評釈書で、和歌の注釈を逸脱して、歴史観、人物論、さらには自身の不遇にまで話を広げてゆく。古典注釈が自己語りに転じる秋成の〈古典〉語りのあり方をめぐって考察する。
ディスカッサント●合山 林太郎(慶應義塾大学)
司会●有澤 知世(神戸大学)
17:15~
閉会の挨拶
京都産業大学外国語学部 盛田 帝子